日本ではよく、「ヨーロッパでは初対面時に相手の年齢を尋ねる習慣はない」と言われていますが、筆者自身、スウェーデンで生活する中で、初対面時の会話中にそれとなく年齢を聞かれることは多々あります。

また、筆者がこれまでに受講した大学の各コースでの自己紹介の際にも、自身の年齢を公表する学生は意外に多いという事実に驚きました。

年齢を知ったからといって、態度や距離感の取り方が変わるということは特にありません。単純に「何歳位の人なのだろう」と好奇心をもつことは、スウェーデンでもある程度一般的なようです。

今回の記事では、スウェーデンでは、恋愛や結婚、人間関係、進学や就職において、年齢がどのような影響を及ぼすのかについてお伝えします。

年齢にかかわらず対等な人間関係

スウェーデンでは、英語のミスターあるいはミセスに相当する敬称が日常的に使用されることはなく、性別や年齢、社会的立場に関係なくお互いをファーストネームで呼び合います。

日本と同様に、同年代同士での交友関係を好む傾向はスウェーデン人にも確かにありますが、日本のように1歳の違いで上下関係が成立する文化がないため、スウェーデンでは多少の年齢差を気にせず、対等な人間関係を築きやすいと言えます。

対等であるがゆえに、先生や上司等、年齢や立場が自分よりも上の相手に対しても比較的はっきりと反対意見や批判を主張できる風潮があるという点も印象的です。

スウェーデン人カップルの年齢差

日本では、「ヨーロッパ人男性は女性の年齢を気にしない」と考えられているようですが、スウェーデンでも、10~30歳と大きな年齢差のある外国人女性を現地に呼び寄せて同棲あるいは結婚をする男性や、デーティングサイト上等で、18~35歳位迄の若い女性との交際を強く希望する中高年の男性はいます。

ただし、実際にここまで極端な年齢差のあるカップルはスウェーデンでは稀です。

年下の女性や若く見える女性が好まれるという風潮はどうしてもあるものの、最終的には、男女共に自分と同等の教養や教育レベル、キャリアを持っているという事実を重視するため、年齢差がプラスマイナス5歳以内の同年代のカップルが必然的に多数派を占めるのです。

20代で結婚や出産=理想の人生という認識はない

スウェーデンでも日本と同様に、人生を共に歩むパートナーと出会い、家庭を築くということはとても幸運であり、価値のあることだと捉えられています。

その一方で、スウェーデンでは日本のように、周囲の人が、20代後半から30代で彼氏のいない女性に対して「結婚の予定は?」、子供のいない夫婦に対して「子供はいつ作るの?」等と干渉をすることは稀です。

同棲カップルの多いスウェーデンでは、結婚という形式への拘りが薄いという事情に加えて、「20代で結婚し出産することが女性として理想の人生」「結婚や出産を経てこそ一人前の人間」と決めつける風潮がないことが、独身であることへの劣等感を抱く女性が少ない要因の一つとなっています。

20代や30代の女性が、あえて恋愛や結婚以外のことを優先するという選択も、ごく自然に受け入れられています。

また、「恋愛や結婚は20~30代前半の若い女性しかできない」という固定観念を世間が女性に植え付けるという風潮もないため、30代後半以降で生涯のパートナーを見つける人もいれば、40代以降に子供が大きくなってから新たに恋愛をし、同棲や結婚をする女性も少なくありません。

スウェーデン人の進学や就職の際の年齢は様々

高校卒業後、期間を決めずに様々な職種でのアルバイトや海外での長期滞在等をして過ごす人が多いスウェーデンでは、日本のように、大学生=18~22歳迄の若者、30歳=勤続7~8年等、「人生のどの時点で何をしているのが普通」という規格が成立しにくくなっています。

成人教育の充実しているスウェーデンでは、大学や専門学校で学びたいことや将来就きたい仕事を決定し、進学や転職活動等の行動を起こす際のタイミングは人それぞれなのです。

スウェーデンでも、履歴書に生年月日を記載することは一般的なため、年齢の割に経歴が立派すぎるために履歴書の内容の真偽を疑われたり、40代以降の求職者について、「柔軟性がない」等の先入観が向けられる等、就職活動における年齢に基づいた差別は残念ながら皆無ではありません。

しかしその一方で、スウェーデンでの就職で最もネックになる要素は年齢ではなく、然るべき教育機関で就職に直結する専門教育を受けているかどうか、そして関連分野での十分な勤務経験があるかどうかだと言われています。

年齢による呪縛に囚われないスウェーデン人

スウェーデンでも、恋愛や仕事において、年齢は全く関係ないという訳ではありません。

しかしそれでも、周囲からの「何歳迄にこれをしなければ幸せになれない」「30歳過ぎたら何をするにももう若くない」というプレッシャーや固定観念の押しつけの少ないスウェーデンでは、自分自身の希望や欲求、物事の優先順位を尊重し、自由な意思決定の基に行動できる環境が整っているということを実感しています。


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ABOUTこの記事をかいた人

近藤万祐子

神奈川県横浜市出身の30代の日本人女性です。2012年に、スウェーデン人男性と結婚し、スウェーデン南部へ移住しました。現在は、現地の大学で心理学と教育学を勉強しています。また、学業の傍ら、スウェーデン在住ライターとして、海外生活、留学、異文化理解、ヨーロッパと日本の教育などに関する記事を投稿しています。